専門はなんですか?
金属工芸の中の『鋳金』を専門としています。鋳金とは、金属を熔解し、あらかじめ準備した「鋳型」にその金属を流し込み、目的の作品(金属造形物)を創りだすものです。 銅合金を用いて、日本の伝統工芸を踏まえた器物を主に制作・研究しています。
その専門で必要なことってなんですか?
アイデアを導き出す探究心や原型を形創る造形力と技法論、そして素材(私の場合は金属)に対する技術力です。これは、その専門だから必要というより、あらゆる創作の現場で必要とされるものではないでしょうか。そして、失敗しても挫けない心です。
その専門ではどのような仕事に繋がりますか?
世の中の鋳金製造業界と言いたいところですが、各工場工房でその生産工程があるため、その業界に特化するということはありません。それよりも、「工芸が好き」という部分や、鋳金制作で培った構想力やデザイン力、連帯力を展開すれば、どのような道にも進めると思っています。
先生にとっての美術や工芸ってなんですか?
ちょっと大仰かもしれませんが人間が生活する上で必要なもの、そして、自分が自分でいるために大事なものです。鋳金の魅力に取り憑かれています。
その理由はなんですか?
何かを創り出すことは人間の欲求であり、自分にとっては鋳金による工芸作品を創り出していくことですが、作品を通して人と人との繋がりを欲しているのかもしれません。
受験生にメッセージをお願いします。
大学でどんな研究をしたいのか、その分野について色々調べてください。そうすると、その分野だけでは成り立たないことが理解できるはずです。このことが美術や工芸を探求する上でとても必要なことになります。何事にも興味を抱く意識や価値観を持って、受験して欲しいと思います。